日本初(?)有罪率99.9%の刑事裁判で〝二度も〟無罪判決を勝ち取った男のブログ!

過去、二度も刑事裁判の被告人として法廷に立たされるも、自力で反証、反駁をし二度も無罪判決を勝ち取る!そんな私が、あらゆる事を綴る!

職務質問時における、所持品検査の過去の裁判例(否定)。



 こんにちは

 今日は、生憎の雨ですね

 しかも、昨日より約10度も気温が低いらしいので、寒く感じますね


 昨日は、職務質問時における、所持品検査の過去の裁判例(肯定)を紹介しました

 どのケースも、相当な嫌疑の元に職務質問をしているので、その際の警察官の行為が多少行き過ぎていたとしても、その必要性、緊急性、相当性に鑑みて違法とは言えない、と言う裁判所の判断でした

 まっ、それはそれで理解できますよね


 さて、今日は、その反対の警察官の行為が行き過ぎだと判断した裁判例を紹介します

 同じ職務質問なのに、何故警察官の行為が違法となってしまうのか、その境界線とはどこなのでしょうか

 それぞれ見て行きましょう


 
 ◎ ナップザックのファスナーを開ける行為(東京地判平8・3・25)

 集会への危険物持ち込み防止のための検問中の機動隊員が、トレーナーとジーンズを着用し、カメラ等の入ったナップザックを背負ったY(原告)を地下鉄駅の階段で呼び止めて5,6人で取り囲み、盾で行く手をさえぎって、承諾のないまま、ナップザックのファスナーを開けて内部を点検した事案。


 ◎ 握り締めた指をこじ開ける行為(東京地判昭63・2・2)

 覚せい剤密売人として内偵中のX(被告人)に職務質問のため声を掛けたところ、Xがズボンの右ポケットに右手を差し入れて白っぽい物を取り出したことから、覚せい剤を捨てようとしているものと考えたA警部補がその右手首付近をつかんだが、Xが抵抗したため、B、C両巡査部長が握り締めたXの右手指を逆にねじり上げる等して、その白っぽい物(注射器一式を入れたちり紙)を取り上げた事案。


 ◎着衣のポケットに手を差し入れて在中品を取り出す行為(最一判昭53・9・7)

 覚せい剤中毒容疑のあるX(被告人)に対する職務質問の過程で、Xの上衣とズボンのポケットに外から触ったところ、上衣左側内ポケットに刃物ではない何か堅いものが入っている感じで膨らんでいたので、さらにその提示を要求したが、Xが不服らしい態度を示したため、警察官が自らその上衣内ポケットに手を差し入れて在中品を取り出し、覚せい剤であることを確認した事案。


 ◎ 車内検索を行うことを告げられ、「しょうがない」という趣旨のことを述べたに過ぎない事例(東京高判平6・7・28)

 停止を求められて逃走した自動車を追跡し、運転席のX(被告人)に職務質問をしたところ、免許証不携帯の上、覚せい剤前歴も判明したので、約20分にわたり所持品検査や車内検索について説得し、応援に来た警察官が更に説得を続けるうち、車内に白色粉末のあるのが発見されたが、予試験では反応が出なかったため、その直後、「車をとりあえず調べるぞ。これじゃあ、どうしても納得がいかない。」と告げて車内検索を行い(その間、Xは車両の傍らで検索の様子を眺めていたが、異議を述べたり口出ししたりすることはなかった。)覚せい剤を発見した事案。


 ◎ 警察官による暴行の後に車内検索を行うことを告げられ、投げやりに「勝手にせい」と答えた事例(神戸地判平10・10・13)

 ホテルのトイレに注射器が詰まっているとの通報で臨場した警察官が、駐車場の暴力団関係者車両を発見し、これに乗り込もうとしたX(被告人)を引きずり出して、多人数で取り囲んで質問するとともに、A巡査がXのえり首をつかんで激しく揺さぶり、気分が悪くなって座り込んだXから鞄を取り上げる等した上、現場へ連れて来られたXの同棲相手Y子が注射器入の袋をXから預かったと述べたため、「車見るぞ。」と声を掛けて、Xが半ば投げやりに「勝手にせい。」と答える中で、同車両内を検索した事案。


 ◎ ポケットを押さえ続けながら「分かったよ、もう疲れたよ」と答えた事例(東京地判平12・4・28)

 警察官の姿を見て急に車に乗り込んだXの承諾を得て車内を調べたところ、注射器が発見されたことから、同乗者Y(被疑者)にも所持品の提示を求めたが、Yがこれに応じず、ベストの左側ポケットを強く押さえて「何も隠してないよ。」等と言いながら立ち去ろうとするので、引き止めて更に追求すると、ポケットを押さえ続けながら「分かったよ、もう疲れたよ。」と言ったため、ポケットに手を差し入れ、覚せい剤を発見した事案。


 と、様々な事例がありましたね

 今日挙げた事案は、あくまでも〝否定〟された裁判例なので、警察官の行為は違法という事になります

 確かに、それぞれ状況は違えど、ちょっとやり過ぎな感はしますよね

 特に、五番目の事案は、警察官が対象者のえり首をつかんで激しく揺さぶるなんて、どう考えてもやり過ぎですよね


 これらの殆どが、所持しているだけで違法な覚せい剤の事案ですよね

 そうすると、警察官の違法行為によって発見した覚せい剤は、どういう扱いになるのか

 と、言う疑問に行き着きますね

 実は、この問題はここから更に掘り下げると、かなり深い法律論になるので、簡単に触れる程度にしておきます

 
 このような事案の場合で、〝クロ〟の証拠が発見された場合、判決は一貫せずに別れています

 例えば、警察官の違法行為によって得られた証拠は、その証拠能力はないとして無罪になったケースもあれば、確かに警察官の行為は違法だけれども、その必要性、緊急性、相当性に鑑みてやむを得ないので、その証拠能力は否定されない、として有罪になったケースもあります

 裁判所としても、警察官の行為はやり過ぎだけれども、そこから〝クロ〟の証拠が出ちゃったんだから仕方ないでしょ、と言う感覚なんでしょう

 確かにその考えも理解出来ますよね


 しかしながら、警察官の行為が何でも許されては、プライバシー保護の観点や、人権の問題からも、非常に由々しき問題でしょう

 職務質問だからと言って、本人が何も承諾していないのに、怪しいからとズカズカと体を調べたり、車を調べたら、誰もが憤慨すること間違いなしです

 なので、裁判所としても、余りにもやり過ぎな行為はダメですよ、と言う判断を示していて、それが今日の事案の数々です


 今日のような事案の際に、良く持ち出される法律用語があって、それを『違法収集証拠排除の法則』と、言います

 これは、違法に収集された証拠の証拠能力を認めてはいけません、と言う意味です

 過去に最高裁で、この点について判示した有名な判決があって、こういうケースでは必ずと言っていい程持ち出される判例があるので紹介します


 『証拠物の押収等の手続に、憲法35条及びこれを受けた刑訴法218条1項等の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが、将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては、その証拠能力は否定されるものと解すべきである。』


 と言う、有名な判例があって、だいたい職務質問から現行犯逮捕されて争っている事件の場合、この判例を持ち出して無罪を主張するパターンが多いです

 勿論、それで無罪になることは、そうそうありませんが


 最後に、職務質問時における警察官の行為を訴えたい場合は、その警察官の属する自治体(都道府県)に対して国家賠償法によって慰謝料その他の損害の賠償を請求することが出来ます

 しかし、違法行為を行った警察官個人に対して、損害賠償請求訴訟を提起することは出来ません

 つまり、警察官は国によって守られているという事です

 だって、仮に損害賠償請求訴訟を提起されて警察側が負けたとしても、その賠償金は警察官個人が払うのではなく、我々の税金から支払われるんですから

 全くふざけた話ですよね


 さて、明日は、ボクの同級生がひき逃げされた事件をお話する予定です



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